【民法】(総則)その2 「失踪宣告」
1 失踪宣告
(1) 定義
※ 簡単に言うと、行方不明者を死んだものとみなす制度である。
失踪宣告とは、「不在者の生死不明の状態が継続する場合に、裁判所が、一定の手続の下で失踪宣告をし、その者を死亡したものとみなして、その者をめぐる財産上・身分上の法律関係を安定させようとする制度」である。
(2) 種類
「普通失踪」と「特別失踪」の2種類ある。
「普通失踪」は、不在者の生存を、最後に確認した時から「7年間」経過した時に、死亡したとみなす
「特別失踪」は、危難に「遭遇」した者が、危難が「去った」時から「1年間」経過で、危難が「去った」時に、死亡したとみなす
(3) 効力
家庭裁判所で、失踪宣告がされると、失踪宣告された者は、法律上は死亡したとみなされる。
2 失踪宣告の取消し
失踪宣告が取り消された場合、失踪宣告は、さかのぼってなかったことになる。
ただし、失踪宣告があった「後」、その取消しをする「前」に、善意でした(=知らずにした)行為は、影響を受けない。要するに、効力を持ったままである。
※ 法律用語で、「善意」は「知らない」という意味。「良い」という意味はない。
なお、失踪宣告によって、関係者等が得た財産は、その取消しによって、失う(財産を返す)ことになるが、「現に利益を受けている限度」だけ返せばよい。
※ 「現に利益を受けている限度」とは、手元に何らかの形で残っているもののこと。浪費等してしまって、手元にない部分は、返す必要はない。
【民法】(総則)その1 「能力」
能力
1 権利能力
2 意思能力
3 行為能力
※ 能力には、以上の3つがある。順番に説明する。
1 権利能力
(1) 定義
「権利能力」とは、「私法上の権利義務の主体となる資格」のこと
※ 簡単に言えば、生きている人間が持つ資格のこと。では、胎児は?
(2) 胎児
①不法行為に基づく損害賠償請求
②相続
③遺贈
※ ①~③の場合は、胎児も、権利能力を有するものとみなされる。
ただし、「生きて」生まれてきた場合のみ。
2 意思能力
「意思能力」とは、「有効な意思表示ができる状態」のこと
※ 例えば、幼児は、人間であるから「権利能力」はあるが、「意思能力」はない。
3 行為能力
「行為能力」とは、「単独で有効に意思表示をなしうる能力」のこと
※ 例えば、成年者は、単独で契約ができる。
一方、未成年者は、単独では契約できず、親の同意が必要。
このように、「能力が足りない」者を、「制限行為能力者」という。
「制限行為能力者」は、4つの類型に分けられている。
①未成年者
②成年被後見人
③被保佐人
④被補助人
→ これは、「制限行為能力者」を保護するための制度である
※ 契約は、リスクを伴うから。後で、詳しく見る。
【民法】その0 「導入」
民法とは
1 一般市民「同士」のルール(国と市民ではない)
2 私的自治の原則(自分のことは自分で自由に決める)
※ 例えば、民法では、市民同士が、物を売買のする際のルールを、定めている。
そのルールに従い、物を売買するかどうかを、自分で自由に決めることができることになっている。
民法の体系
1 総則(共通のもの)
2 物権(人と物)
3 債権(人と人)
4 親族・相続
※ 念仏のように唱えて、覚えるしかない(笑)
体系は、目印や地図の役目を果たす。